第4話・嵐の前夜

 前回までのあらすじ
 苦労して到着したが、お世辞にも快適とは言えないオタモイの環境に絶望した一行は小樽駅に撤退。意地でも、このままでは帰れない一行は銭函の砂浜での野宿を決意し、JRで銭函へと向かったのだが、一体どうなることやら?オタモイ遠征編、遂に完結です!

 銭函のビーチに到着した一行は岩夫が購入したレジャーシートで休みながら、セブンイレブンで購入した夕食を食べ始めた。
 RYO 「マジで腹減ったよ。」
 みっつ 「ホントだよな~。」
 流石に歩きっぱなしで疲労しきっている一行は、この日初めて落ち着いて話せる環境に安心していた。それに空腹が手伝って、自然に夕食を食べる箸も進んだ。ただ一つ問題があるとすると、相変わらず天気が悪いので風が強く、容赦なく砂が飛んでくるのである。
 RYO 「ヤバイ!食い物に掛かるべや!」
 岩夫 「風と反対の方を向いて食べるしかないね。」
 そんな内に、一際強い風が吹いた。その後に異変が起こった。
 みっつ 「うへっ!やたら砂っぽいんだけど!俺の納豆巻き!」
 フェイ 「ど、どうしたんだ?」
 みっつ 「醤油の中に砂が入ったらしい!」
 RYO 「あらら~。納豆巻きなんて粋な物を食べるから悪いんだべ。」
 みっつ 「う、うるせぇ!こうなったら、意地でも食うぜ!」
 無理に納豆巻きを食べたみっつは微妙に気分が悪くなった。次第に辺りを完全な闇が包み静寂が訪れかけたが、50M程先の砂浜で大学生くらいの男女の一行が花火などして騒いでいたので心細さはなかった。とはいえ、花火なんていう洒落た物を持って来てなかったので、やる事といえば馬鹿話に花を咲かせる事だけだった。
 RYO 「そういえば、岩夫ちゃんさ~。中学の卒業旅行にツアーで行ったインドで襲われそうになったってホント?」
 岩夫 「なんで知ってるんだ~?」
 みっつ 「俺が言ったからだよ~。喜びは皆で共有しなければね。」
 RYO 「そうそう。詳しく聞かせてくれよ~。」
 岩夫 「それがさぁ。列車で会った元ボクサーの爺さんに二人きりになった時に体を触られてね・・・。」
 フェイ 「そ、それでどうなったの?」
 岩夫 「間一髪で他のツアーの人が来て助かったよ。」
 RYO 「やっぱ、岩夫ちゃんはソース顔でインド人っぽいからうけたんでしょ?」
 みっつ 「確かに絵に描いたようなソース顔だもんな~!」
 岩夫 「お前ら~!うるせ~よ!」
 こんな具合で夜は深まり、その内にヨハンが何故か持参していたラジオで音楽を聞きながら徐々に眠りに入るものが一人、また一人と増えていった。

 みっつが起きたのは、まだ早朝5時であったが既にヨハンや岩夫は起きていた。そして、話し合いをしていた。
 ヨハン 「この天気はまずくないか?」
 岩夫 「確かにね。いつ降ってくるかわかんないよね。」
 何について話してるかは一目瞭然だった。遂に台風が直撃したらしく、辺りは太陽も見えないほどに真っ暗で、今にも雨が降りそうであった。話し合いの結果、無念だがこのまま撤退する事に決めた。最早、海で泳ぐどころではなかった。
 RYO 「ちきしょう!結局、釣り道具も海パンも無意味かよ!」
 みっつ 「この天気だけは、どうしようもないぜ!」
 JRの銭函駅で始発と思われる列車に乗った一行は、朝の通勤ラッシュの凄まじさに閉口してしまい、更に疲労を深めていた。しかも、札幌駅についた時には雨が降り出していて、濡れながら帰った。
 みっつ 「ホント、最高の旅立ったぜ!」
 岩夫 「早く、家に帰って寝たいよ~。」
 ヨハン 「とりあえず、これで解散だな。じゃあ、またな。」
 RYO 「また会おうぜ~!」
 フェイ 「じゃあね~。」
 適当な場所で解散した面々は足早に自宅へと帰っていくのであった・・。ちなみに、岩夫がワリカンのつもりで買ったレジャーシート代は結局、ドサクサで岩夫負担となったのだった。南無。

 今回でオタモイ旅行編は完結です。流石に7年近く前の事を思い出しながら書くのはしんどいですね~!というか、7年前の出来事というのが信じられません(汗)
 さて、次回は高校時代の豊平川でやったサッカーにまつわるエピソードを書きたいと思います。次回、第5話「フェルナンデス監督登場!?」をお贈りします!お楽しみに~!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ
           [製作協力] RYO


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